令和5年2月定例会 一般質問・答弁要旨

令和5年2月定例会 一般質問・答弁要旨

1.県JR中央線の利便性向上について

①恩賜県有財産の貸付料について

乙黒 中央線の利用状況は、コロナ禍前までは回復していないが、ウィズコロナあるいはアフターコロナにおいて、持続的な地域の活性化を図るためには、観光シーズンにおける臨時列車の増発や特急列車の停車本数の復元など、中央線の利便性向上が、特に重要な要素になっている。県内ではこの先、リニア中央新幹線の開業が予定されており、交通環境を含めた様々な分野で影響がある。都内から短時間で山梨に移動できるリニア中心の交通体系が充実したとしても、リニア駅から峡東地域への連携には大きな課題があり、リニアが山梨県のメイン交通機関として機能すればするほど、中央線の本数や停車駅の減少といった課題が明確になる。県ではJR中央線の利便性向上に向け、どのように取り組んでいくのか、所見を伺う。

県民生活部長 県では、毎年JR東日本に対し利便性向上について、長野県を含めた広域期成同盟会としての要望に加え、県内沿線9市と合同の要望活動を行っている。こうした活動により、これまで、かいじ号の発車時刻繰り上げや、塩山・山梨市駅での特急停車本数の増加など、効果が現れている。また、今月18日から、新宿着の特急2本が東京まで区間延長の予定であり、新幹線などへの乗り継ぎが容易となることで更なる利便性の向上が見込まれる。今後も引き続き、あらゆる機会を通じてJR東日本に対し、粘り強く要望を行うことで、中央線の更なる利便性向上につなげていく。

2.保育環境の改善について

乙黒 慢性的な保育士不足やそもそも国が定める保育士の配置基準が現場を疲弊させている。例えば、保育士の配置基準については、4・5歳児の子ども30人につき保育士一人が必要だが、この配置は基準ができた七十五年前から一度も改正されていない。私も自由民主党の教育厚生部会長として様々な関連団体から要望や問題点をヒアリングした際に、こうした国の基準を改正することや、県内市町村のどこに住んでいても同じ環境で保育が行われるような配慮を依頼されており、山梨県への要望の中にも入れている。
本県では、教育環境の充実のため小学校低学年に25人学級を全国に先駆けて導入している。一定の時間机に向かって学習する小学校と、家庭に近い環境で子ども同士ふれあいながら過ごす保育所を一概に比べられないが、保育現場では、特別な配慮を必要とする子どもへの対応や新型コロナウイルスへの感染防止対策など保育士の業務負担は増加している。
子どもが安全な環境のもと、心身ともに健やかに成長し、自己肯定感や道徳性・創造性を育むためには、保育士が心に余裕を持って子どもに接する必要があり、そのためには、配置基準など保育環境の改善が何より重要と考えるが、県の所見を伺う。
子育て支援局長 子どもの健やかな成長や安全確保、多様な保育ニーズに対応していくには、保育士にゆとりが必要。このため国では、受け持つこどもの数が急に増える3歳児に、県では1歳児に対し、保育士を加配した場合の助成制度を設け、負担軽減に努めている。更に、国は来年度から、4・5歳児に対する助成制度を拡充するとしているが、その対象は大規模施設に限定される。こうした課題もあり、保育所や幼稚園、保育士養成校などの関係者からなる会議で議論を始めたところであり、その意見も踏まえ、保育環境の改善に向けた検討を進めていく。

7.県有林裁判の控訴について

乙黒  令和2年12月議会における住民訴訟への和解案からスタートした県有林に係る山梨県と富士急行の争いは、令和三年より裁判所での戦いに移行され、現在もその訴訟は続いている。山梨県議会においても本会議での質問や特別委員会でのやり取りなど、様々な角度からこれらの問題に対する意見交換が活発に行われてきた。こうした中、昨年の12月20日には、甲府裁判所において第一審の判決が下されたが、執行部より議員に対する正式な説明等はなされていない。まずは、この判決において、県の主張がどの様に認められたのか、また何が認められなかったのか、判決の詳細を伺う。
また、昨年12月の臨時議会において、この訴訟における控訴が賛成多数で承認された。報道からの情報では控訴しても勝利に結びつかないのではないかと考え、私は控訴に反対した。控訴に当たり、県ではどの様な勝機を持って臨むのか、その詳細について伺う。
また、長崎知事は控訴しなければ未来永劫この賃料を変えることができないと発言している。確かに過去の賃料については請求できなくなると思うが、お互いに主張をしっかり話し合いの場にて進めることで、今後の賃料や山梨県が目指す活用方法についても理解を深めることができると考えるが、その手法についても見解を伺う。

長崎知事 第一審判決は、借地法の適用を否定する点で県の主張を認めている一方、時価に比して著しく低廉な価格で貸付けが行われ、県ひいては県民に多額の損害を与えてきたことを考慮しないなど、重大な誤りがある。県としては、控訴審において主張を補充しつつ、新たに主張を加え、県有資産のあるべき姿について、裁判所に理解が得られるよう全力を尽くす。また、話し合いについてですが、同社が現況を基礎とする賃料算定を認めるのであれば、私としては解決と合意に向けて相談させていただく旨はこれまでも表明している。