平成31年2月 定例会 質問・答弁要旨
1.JR 中央線の利便性向上について
乙 黒 昨年12 月、JR東日本は春のダイヤ改正において、速達性向上のために特急「あずさ」の停車駅を見直し、今後、峡東地域の塩山、山梨市、石和温泉の3 駅には停車しなくなること等を発表した。今回の「あずさ」の停車取り止めにより、観光産業等への影響が懸念されている。中央線は、多くの県民に様々な場面で利用されており、主要な交通手段であることから、市町村と連携し、利便性を高めていくことが必要である。そこで、今後、県は、どのように中央線の利便性向上に取り組んでいくのか伺う。
長崎知事 JR中央線は、多くの県民をはじめ、本県を訪れるビジネスパーソンや観光客にとって重要な交通手段である。しかしながら、今春のダイヤ改正により、特急「あずさ」の峡東地域3 駅などへの停車が取り止めとなり、本県の観光産業や県民生活への悪影響が懸念される。これに対し、JR東日本は、週末に臨時特急「かいじ」の増発などを行っていくとしましたが、この対応は、一部の観光客に限定した措置で、運行本数的にも甚だ不十分であり、また、県民の日常的な利用における利便性の低下には全く配慮されていないものである。このため、今後は、沿線市町村や県選出国会議員と連携を図りながら、観光シーズンにおける臨時列車の増発にとどまらず、特急のダイヤの見直しやE電の甲府延伸など、中央線の利便性向上につながる様々な要素を一つのパッケージとして取りまとめ、その実現に向け、JR東日本をはじめ、政府与党に対し強力に要望していく。
2.笛吹川フルーツ公園の今後の運営について
乙 黒 公園の管理運営は、民活区域の整備・運営に関わる山梨市フルーツパーク株式会社が、平成21 年より公共区域の指定管理者に選定され、両区域の管理を行っていたが、来年度から公共区域は新団体が選定された。今後の公園運営を心配する声も聞かれる中、今後も公園が地域の拠点として、山梨市の活性化や発展に寄与していくためには、県、山梨市、新指定管理者、民活区域管理運営者が十分に連携し、運営を円滑に進めることが重要である。そこで、今後の公園の管理運営のあり方について、県の所見を伺う。
長崎知事 笛吹川フルーツ公園は、公共区域と民活区域がそれぞれの持ち味を生かしつ、その相乗効果を発揮できるよう管理運営を行ってきた。今回の指定管理者選定に際して、民活区域との連携について、新たな指定管理者から様々な提案がなされているが、県としては定期的な履行状況の確認などを通し
これらの提案の的確な実施を求め、更なる公園の魅力向上を図っていく。なお、従前より乙黒議員が心配され、また、今回、御指摘いただいた指定管理者交代に伴う雇用に関し、新たな指定管理者は、これまで公園管理に携わってきた方々が蓄積してきた技能、ノウハウを承継していくことの重要性を認識しており、継続して公園で働くことを希望する方を受け入れる方針としております。希望者以外の方々についても、地元山梨市と協力しながら、その雇用について引き続き支援していく
3.県産ワインのブランド化の推進について
乙 黒 先月発効された日EU・EPAによる輸入ワインのシェア拡大や、長野県など他産地が本県の優位性を脅かしかねない状況の中、GI「山梨」ワインの産地と品質がEUなど海外で保証されるようになったことは、EUにおける輸出面の大きなメリットである。今こそ産地「山梨」のブランド価値を一層高めていく取り組みが必要と考え
る。そこで県は、県産ワインの国内外におけるブランド化の推進について、どのように取り組んでいくのか所見を伺う。
産業労働部長 県産ワインは年々品質が向上し、国際的な評価が高まってきていることから、県では、ワイン産地「山梨」のブランド価値を更に高め、世界的産地として確立していきたいと考えている。2 月に発効した日EU・EPAにより関税が撤廃され、本場ヨーロッパから輸入されたワインの国内シェアの拡大を懸念する声もあるが、輸出面においては、GI山梨の指定も受けていることから、県産ワインにとって大きなチャンスである。このため、今月11 日には、国際的に著名な海外のワインジャーナリストを招へいし、本県のぶどう栽培や醸造の方法、文化的背景など、現場でしか知り得ない産地の情報を、広く発信する。更に、ワインジャーナリストと若手醸造家等との意見交換会を開いて、県内42 箇所のワイナリーが作る高品質なGI山梨ワインと、本県独自の甲州ワインという強みをPRしていく。今後も、醸造技術の研究や醸造家の育成を行いながら、個別ワイナリーが行う新たな取り組みを支援するとともに、産地組合や関係団体等と連携して、認知度向上と販路拡大を図り、世界に通用する県産ワインのブランド化を推進していく。
4.醸造用ぶどうの高品質化に向けた取り組みについて
乙 黒 ワインの出来は、原料ぶどうの品質で8 割が決まるともいわれることから、県産ワインのブランド力の更なる強化を図るには、品質の高い醸造用ぶどうの生産がますます重要になる。県では、ワイン産地の競争力を強化するため、本年度から優良な系統の苗木を配布する等の取り組みを行っている。こうした取り組みを一層推進し、欧州系品種についても、一層の品質向上を図る必要がある。そこで県では、品質の高い醸造用ぶどうの生産に向け、どのように取り組んでいるのか伺う。
農政部長 県では、平成18 年度に、県ワイン酒造組合や農家、JA等の参画を得て、山梨ワイン産地確立推進計画を策定し、醸造用ぶどうの高品質化に取り組んでいる。甲州については、糖度が高いタイプや、収量が多く甘さと酸のバランスが良いタイプなど、優良な3 系統を県ワイン酒造組合と連携して2 年前に選抜したところであり、本年度からは、県農業振興公社が苗木の生産・配付を開始し、広く普及を図っている。また、欧州系品種については、メルロなどの有望な5 品種12 系統を10 年前にフランスから導入し、ワイナリーと協働して、本県での栽培適性があることを確認するとともに、この4 年間の試験醸造で、ワインとしての特徴も把握したことから、今後は、県内の各ワイナリー等が新植や改植をする際に活用できるよう、情報共有していく。更に、県果樹試験場においては、醸造用ぶどうの糖度や着色などの品質の向上や収量の増加を図るため、仕立てや剪定方法などの試験研究を重ね、本県に適した栽培技術の確立にも努めている。今後も、醸造用ぶどうの高品質化に向けた取り組みを積極的に推進し、世界に通用するワイン産地を目指していく。
5.保育人材の確保と保育の質の向上について
乙 黒 本年10 月から、3 ~ 5 歳の全ての子ども等の保育所等の利用料が無償化になるため、入所児童の更なる増加が考えられ、保育士の確保は喫緊の課題である。県内保育士養成校の卒業生が県外へと流出してしまう現状は非常に残念であり、本県の保育環境の魅力をもっと積極的にアピールすることにより、保育人材の流出を抑制し、県外から多くの保育人材を受け入れていくことが重要である。そこで、県では、保育人材の確保と保育の質の向上に向け、今後、どのように取り組んでいくのか伺う。
長崎知事 保育人材の確保に向けて、県では、保育団体や保育士養成施設、市町村などと連携して就業促進に取り組んでおり、保育士を目指す学生をはじめ、多くの方々に保育士の仕事に魅力を感じていただくため、保育所等を見学するバスツアーや就職応援フェアなどを実施している。また、民間保育所等が、保育士のキャリアに応じて賃金を改善する場合には、国の加算制度に基づき財政支援を行うほか、保育士経験者の復職支援として、一定期間保育所等に勤務した場合に返還免除となる再就職準備金などの貸付制度も実施している。来年度は、こうした取り組みに加え、乙黒議員に御指摘いただいたよう、本県の保育環境の素晴らしさなどを小冊子に盛り込み、県内外の保育士養成施設や就職応援フェア等で配付してPRするとともに、新たに県外の学生向けに県内保育所等の見学バスツアーを実施していく。更に、県内での就業は、本県が積極的に推進しようとしている自然保育のスキルアップにつながることも広く周知し、一層の就業促進を図っていく。また、保育の質の向上に向けては、保育士の方々に障害児保育や食育・アレルギー対応などに関する専門的かつ実践的な能力を身につけていただくキャリアアップ研修を昨年度から実施しており、これまでに、1,872 人の方が受講を修了している。今後は、キャリアアップ研修の受講者の更なる拡大を図り、高い能力を身につけた保育士を増やすことにより、保育の質の確保に鋭意取り組んでいく。