令和2年9月 定例会 質問・答弁要旨

令和2年9月 定例会 質問・答弁要旨

1.果樹産地におけるスマート農業の推進について

乙 黒 果樹栽培には、熟練農業者が経験により体得した「匠の技術」が数多くあり、新規就農者等の高いハードルになっているが、先月には県が参画し、高品質なシャインマスカットの生産に向けて、次世代の通信システムであるローカル5Gを活用した匠の技術を見える化する新たな技術実証試験が山梨市で始まった。今後も本県の果樹農業を発展させていくためには、実態に即したスマート農業技術の開発と実証に加えて、生産現場に導入・普及を進めていくことが重要である。そこで、本県果樹産地におけるスマート農業への取り組みの状況と、今後の推進について伺う。

長崎知事 スマート農業の推進について、農業の成長産業化を図るための最重点施策に位置付け、AIやIoTを活用した先進技術等を導入し、農業の生産性向上、収益力向上を図ることとしている。県内へのスマート農業の普及・定着に向けては、本年度からやまなしスマート農業実装事業により、IoT技術によるハウスの遠隔監視や自動制御等、省力化・高品質化につながる先進技術の現地実証を進めている。また、このような技術を普及していくため、国や大学の専門家、情報通信事業者、農業団体等で構成するやまなし果樹地域スマート農業推進協議会において、技術の効果について検証を行っていく。更に、ローカル5GやAIを活用した新たな取り組みとして、ぶどうの摘粒作業等について、新規就農者へ熟練農家の「匠の技術」の伝承を可能とするシステムの開発・実証に、県や民間企業、山梨大学等で構成するコンソーシアムとして取り組んでいく。今後も、果樹産地で活用可能なスマート農業の普及・定着を図り、省力化や高品質化、農作業の安全等を実現し、本県独自の技術を確立することにより新規就農へのハードルの引き下げ、果樹農業の更なる発展につなげていく。

2.林業の成長産業化について

乙 黒 本県では、戦後から高度経済成長期に積極的に造林された人工林が、本格的な伐採期を迎えており、この充実した資源を活用した林業の成長産業化が期待されている。林業における生産性の向上は、外国産材との価格競争により、国産材価格の上昇が今後も見込めない中で、林業が収益をあげていくために必須の取り組みであり、木材生産から、再造林、保育というすべての分野で進めていく必要がある。県産材の利用促進に向け、品質の高い製材品を低コストで供給する仕組みづくりを進めていくため、建築用途での活用が進んでいる他県と比べても遜色のない補助事業の実施等、あらゆる手段を講じていく必要があると考える。そこで、県では、林業の成長産業化に向けて、どのように取り組んでいくのか伺う。

林務長 本県の豊かな森林資源を活用し、林業の成長産業化を実現するためには、低コストで効率的な木材生産を進め、県産材の利用促進につなげていくことが重要である。このため、県では、森林資源が充実している地域への重点的な路網の整備や、高性能林業機械の導入支援、伐採から植栽までを一貫して行う作業システムの普及など、森林施業の低コスト化に取り組んでいる。また、建築用など付加価値の高い製材品を低コストで安定的に供給していくため、流通過程の効率化に取り組む企業グループに対し、柱や梁など構造材の加工経費を助成することにより、現在55の事業者が4つの企業グループを組織し活動を開始している。今後、こうした活動の輪を更に広げていくため、店舗等の建築を検討している事業者とのマッチングによる販路拡大や、これまでの助成制度の対象に内装材を加えるなど支援を拡充していくことで、より強固なサプライチェーンを構築し県産材の利用促進を図っていく。

3.ワイン県やまなしの取り組みについて

乙 黒 本県は、国産ワイン発祥の地であり、日本ワインの生産量及びワイナリー数が日本一であることなどから、昨年8月7日にワイン県を宣言し、県産ワインを核とした観光振興やブランド戦略に活かす取り組みを推進している。これまで、県では県外への情報発信として、ワイン県副知事の林真理子氏、田崎真也氏にも尽力をいただき様々なキャンペーンを実施し、本年8月7日には、「ワイン県やまなし一周年記念イベント」をオンラインにて開催している。これらの情報発信については大いに評価されているが、県内ワイナリーの関係者からは、ワイン県の方向性が共有できていないという意見や、県民の意識が高まっていないという意見もある。ワイン県の定着には、県外への情報発信はもちろんのこと、合わせて県民がもっとワインに親しみ、本県がワイン県であることの意識の向上を図る取り組みや、ワイン業界や関係自治体と連携した取り組みが重要であると考えるが、県の所見を伺う。

観光文化部長 本県では、昨年8月のワイン県宣言以降、様々な媒体や機会を活用して、「ワイン県やまなし」の情報発信を積極的に行っている。一方で、県民への周知活動、ワイン業界や関係自治体との連携など、県内における認知度の向上に対する取り組みも重要であり、ワイン県宣言一周年記念のオンラインイベントでは、県内ワイナリーの女性醸造家3名によるワイン解説や、記念花火の打ち上げにより、県民に「ワイン県やまなし」をPRしている。今後は業界とも連携し、「ワイン県やまなし・県産酒キャンペーン」を展開し、観光客のみならず県民にも県産ワイン等を身近に感じていただく店舗を増やし、県民が知人とワインの魅力について話せるような雰囲気を育んでいく。更に、本年6月に新たに日本遺産に認定された「日本ワイン140年史~国産ブドウで醸造する和文化の結晶~」と、既に登録されている「葡萄畑の織りなす風景」の関係自治体とも連携し様々な機会を通じて、県民に対する「ワイン県やまなし」の意識向上に努めていく。今後も県内外における「ワイン県やまなし」の認知度向上に向けた取り組みを進め、県民、業界、関係自治体と一体となって「ワイン県やまなし」をきっかけにした本県観光の高付加価値化を図っていく。

4.県管理道路における通学路の安全対策について

乙 黒 昨年、滋賀県において散歩中の保育園児の列に車が飛び込み、園児二人の尊い命が奪われた事故が発生した。この事故を契機に、全都道府県で未就学児が利用する道路の安全点検が行われ、効果的な対策が進められている。また、小中学校の通学路の安全点検は、平成24年の京都府での事故をきっかけに緊急合同点検が始まり、毎年安全点検を行い必要な対策が講じられているが、通学路の安全点検では、どのような機関が関わり、どのように危険な箇所を把握しているのか伺う。また、交通事故は時や場所を選ばず頻繁に発生しているため、学童の通学途上にある危険因子は速やかに取り除くことが大切であり、通学路の安全点検は安全で安心な社会の構築の第一歩である。そこで、県管理道路の通学路における安全対策の現在までの状況と今後の取り組み方針について伺う。

長崎知事 通学路の安全対策は、関係者が連携して、危険箇所の抽出、安全点検、対策の実施、効果の検証、改善を一連のサイクルとして継続的に取り組むことが重要である。毎年実施する通学路の安全点検は、保護者等の意見を踏まえ、市町村の教育委員会を通じて学校から提出される危険箇所を、学校関係者と警察、道路管理者が一堂に会して点検し、対策を検討している。また、県管理道路の通学路においては、昨年度末までに587箇所の要対策箇所を洗い出し、カラー舗装など短期間で可能な対策は早急に実施するとともに、用地確保が必要な歩道設置などの対策は地元の協力を得つつ計画的に進め、これまでに494箇所で対策が完了している。今後は、残る93箇所で対策を講じるとともに、毎年実施する安全点検を通じて、通学路に潜む危険因子を洗い出し、より安全な通学路となるよう対策を進めていく。

5.JR中央線東山梨駅付近の跨線橋整備について

6.官民連携による空き家活用の促進について

7.G I G Aスクール構想の実現について