令和4年9月定例会 一般質問・答弁要旨

令和4年9月定例会 一般質問・答弁要旨

1.県有資産の高度活用について

①恩賜県有財産の貸付料について

乙黒 県では、地方自治法第237条第2項において、条例又は議会の議決による場合でなければ適正な対価なくして貸し付けてはならないと規定されていることを根拠に、貸付料算定の基礎をこれまでの山林原野から現況所与に方針転換した。この方針に基づき、令和3年度貸付料の見直しを行った上で、公共施設の運営や公益事業、個人の生活などに支障を来すことがないよう、社会政策上の措置を講ずる必要がある案件について、減免措置基準に応じた減額議案を本年2月議会に諮ったが、議連及び予算特別委員会による現地調査の結果、利用実態に疑義のある案件が複数認められたことから、令和4年度恩賜県有財産特別会計予算では、減額箇所の再調査を行い、その結果に基づき適切に対応するよう要請する附帯決議が付き可決された。6月議会では、再調査を実施している95件のうち4件の報告を受けたが、残る調査の進捗やスケジュールなど伺う。
 また、貸付料の算定方法について、継続中の契約では継続賃料による算定が一般的だが、今回の改定では、新たに賃貸借契約を締結する際に用いる新規賃料を前提とした算定を行っている。契約者の多くは不動産に関する専門知識がない方だと思うが、正しく理解されていないことにより、今後苦情や訴訟など、県・契約者双方にとって好ましくない状況に発展しないか憂慮している。県では、今回の恩賜県有財産貸付料の改定に当たり、賃借人に対しどのような説明を行ったのか伺う

林政部長 再調査の対象となった減額議案のうち、残り91件の状況について、現在までに概ね調査を完了した。結果については、次回の特別委員会で説明し、審議をいただきたいと考えている。
 次に、賃料改定に当たっての賃借人への説明については、地方自治法の定める「適正な対価」とは住民訴訟を通じた法的議論を踏まえ、現況で評価した土地価格を基に算定すべきとの結論に達しているため、今回の賃料改定に当たっては、現況を所与とした不動産鑑定評価を行っている。賃借人に対しては、法の趣旨を踏まえた見直しの経緯を丁寧に説明するとともに、貸付料を構成する純賃料と所在市町村交付金の額をお示しし、理解が得られるよう努めてきた。

②山梨の水の更なるブランド力向上について

乙黒 本県から始まったとされるミネラルウォーターの製造は、現在日本一のシェアを占めており、この誇るべき地域資源である、やまなしの水を最大限活かし、高付加価値化に取り組んでいくことが、やまなしブランドの価値向上、山梨全体のイメージアップに繋がると考える。先般、議連で訪れたミネラルウォーター会社でも、県による施策を期待する旨の発言もあり、お互いにウィンウィンとなる活動の先には、地下水に関する新たな法定外税の導入も視野に入れるべきだと考える。
 一方で、新税の導入に関する議論が停滞していることで、業界において様々な影響が出ている。地元企業を始め多くの方からの陳情も届いているが、新税の導入に懸念を示す金融機関から融資において指摘を受けたり、大手企業においては生産拠点を県外に移行する動きが見られたり、県内の経済状況について心配される方も多い。こうした現状をしっかり把握する中で、関連企業へのヒアリングを進め、新税導入のメリットと経済状況へのデメリットについて精査しつつ、早期に結論を出すとともに、水ブランドの価値向上についても取り組むべきと考える。
 県では、やまなしの水の更なるブランド力向上を図るため、どのように取り組まれているのか伺う。

長崎知事 県では、豊かで良質な水を生かした本県のイメージアップの実現に向け、水と関連する産品や観光などとの相乗効果を図りながら、「山梨の水」のPRなどに取り組んでいる。昨年度は3大都市圏で調査を実施し、本県は「おいしい水」、「名水」、「ミネラルウォーター」からイメージする都道府県として第1位、また「きれいな水」が第2位になっており、効果が現れてきている。今後とも、「ハイクオリティ・やまなし」をキーコンセプトに展開しているやまなし地域プロモーション戦略と連動させながら、山梨の水の更なるブランド力の向上に取り組んでいく。
 地下水に関する法定外税については、そもそも執行部から持ち出したテーマではなく、県議会の政策提言に基づき、有識者による検討を行ってきたものであり、執行部としては、まずは、県議会としてのまとまった意思決定をいただくことが、事の順序であろうと考えている。

③指定管理者制度について

乙黒 本県には、現在48の指定管理施設があり、民間事業者の経営感覚やノウハウを活かした管理運営を通じて、様々な分野における県民サービスが提供されている。私は、本年度設置された指定管理施設・出資法人調査特別委員会において、指定管理者が実施する自主事業について質問した。自主事業は、県の承認を得ることを条件に、施設の目的に合致し、かつ指定管理業務の実施を妨げない範囲において、利用者の利便性向上に資することを目的として行われるものであり、施設運営の課題解決につながる有効な取り組みであるが、一部の指定管理施設において、自主事業の内容が把握しきれていない事案が見られた。県は、指定管理施設で目的に沿った運営が行われているか指導する責務があり、そのためには、自主事業の内容や収支の状況も含め指定管理者による運営状況を把握・分析する必要がある。そして、これらの情報を公開するとともに、自主事業の自由度を高めることが、新規に参加する事業者の適正な競争の確保に資するものと考える。
 こうした指定管理者制度の運用について、不断の検証と改善を行うことが、県有施設の高度活用にも結びつくとともに、県民、指定管理者、県それぞれの利益につながるものと考えるが、指定管理者が行う自主事業をはじめとする運営状況について、どのように把握していくのか伺う。

林政部長 指定管理施設の運営については、県民サービスの向上や県有資産の高度活用の観点から、県と指定管理者が連携して不断の見直しを続けていくことが肝要である。その一つとして、本年度の次期指定管理者の選定においては、事業計画のうち地域貢献、市町村連携などの内容についても事業効果を評価するよう審査基準を見直した。また、選定後においても、県が当事者として施設の運営に最後まで責任を持ち、管理運営の状況を的確に把握・検証することが必要である。このため県では、指定管理者から提出される定期報告や、一定期間ごとに行う現地調査・意見交換の場などを活用し、事業内容及び経営状況のモニタリングを実施している。
 一方、自主事業については、事業計画の承認に当たり内容や目的などを確認しているが、実施状況の把握に関しては施設によって差があることも事実であり、今後は、施設によって自主事業の内容に違いがあることも踏まえ、確認事項に関する統一的な基準を検討するなど、運営状況の適切な把握に一層努めていく。

5.中学校における休日部活動の地域移行について

乙 黒 8月2日、山梨県内の高校生が本県の将来に向けた提言を行う「高校生議会」が、県議会議事堂にて開かれた。当日は、県内の高校や特別支援学校の生徒16名が、次代の山梨を担う若者の代表者として登壇し、「デジタル技術を活用した社会の仕組みづくり」や「ヤングケアラーの認知度向上のための活動」など、昨今の社会情勢を踏まえた高校生らしい視点で、非常に興味深い様々な提言が発表された。その中で、私が関心を寄せたテーマのひとつは、高校生にとって身近な運動部活動に関する提言である。
 国においては、生徒がより望ましい指導を受けられるとともに、競技経験のない教員の多大な負担が解消できるよう、令和5年度から中学校における休日の運動部活動を段階的に地域に移行していくための検討を進めている。運動部活動を学校から地域へ移行するためには、指導者の確保や費用負担の在り方など、多くの課題を解決しなければならないが、多様な生徒のニーズを踏まえたスポーツ活動の機会を確保することは、豊かなスポーツライフを継続する資質・能力の育成、体力の向上などに向けた充実した部活動の実施につながり、ひいては、教員の働き方改革に寄与する、極めて重要な取り組みである。県では、部活動の地域移行をどのような計画で進めていくのか伺う。

教育長 先月の高校生議会では、生徒が堂々と提言を行う姿に頼もしさを感じたところであり、県としても、高校生の若い思いに対して真摯に向き合っていきたい。中学校における休日部活動の地域移行に向けては、昨年度から国の委託を受け、現在、南アルプス市の2校で実践研究を進め、その成果や課題を県下の学校等と共有している。この実践研究においては、生徒が専門的な指導を受けられるという声がある一方、指導者の確保や組織づくりなどといった課題が具体的になってきている。部活動の地域移行を円滑に進めるためには、各市町村において、こうした課題に取り組む組織が必要であることから、本年6月に開催した市町村担当者の会議において、組織づくりの要請を行った。今後は、児童生徒や保護者を対象に、競技のニーズや、活動の仕方などについての考えを把握するため、アンケート調査などを実施し、その結果を市町村と共有しながら地域移行の具体化を進めていく。国の検討会議の提言では、令和8年度からの休日部活動の地域移行に向けたスケジュールが示されている。県としては、このことを踏まえ、市町村と連携しながら、来年度からの3年間で集中的に、円滑な休日部活動の地域移行の実施に向けて、準備を進めていく。

6.障害者等の専用駐車場確保に向けた取り組みについて

乙黒 現在、公共施設をはじめ、多くの医療機関やショッピングセンター等の建物の入口付近には、バリアフリー法に基づき、車椅子をデザインした車椅子利用者の専用駐車場が整備され、多くの障害のある方に利用されている。一方、車椅子利用者以外の障害のある方などへの配慮から、障害のある方や妊産婦の方など、車の乗り降りや移動に配慮が必要な方が優先的に駐車できるよう、平成24年度から県独自の取り組みとして、やまなし思いやりパーキングを推進しているところであり、現在、約2万2千人の方が、利用している。
 高校生議会において、車椅子を利用する生徒から、将来一人で車を運転して色々な場所に出かけたいという夢をもっているが、車椅子利用者の専用駐車場に本来の利用者以外の方の車が停まっている光景を見ると、外出に不安を感じるとの発言があった。私は、思いやりパーキングを数多く確保していけば、この生徒のような方が安心して外出できるようになるものと考える。そこで、やまなし思いやりパーキング制度に基づく駐車場確保のため、県はどのように取り組んでいるのか伺う。
 また、車椅子利用者の専用駐車場や思いやりパーキングに、本来の利用者以外の方の車が駐車しているという状況を改善する必要がある。そのためには、車椅子をデザインした駐車場は原則として車椅子利用者の専用であること、また、思いやりパーキングは車椅子利用者のほか障害のある方や妊産婦の方などが利用する駐車場であることについて、県民の理解を求めていくことが肝要である。そこで、障害のある方や妊産婦の方などが安心して外出できるようにしていくため、障害者等の専用駐車場の適正な利用に向けて、県はどのように取り組んでいるのか伺う。

福祉保健部長 

 思いやりパーキングの確保に向けては、制度の創設以来、多くの事業者へ働きかけを行い、現在、約500施設に協力をいただいている。本年3月、幅広の駐車区画に加え、通常幅の駐車区画にも設置が可能であることを改めて事業者に周知し、増設の依頼をしている。今後も、商業施設などが新設される際には、事業者に制度を説明し理解を得るとともに、未設置の施設には引き続き協力を依頼し、思いやりパーキングの更なる確保に努めていく。
 適正利用への取り組みについては、高校生議会での御意見のとおり、未だ制度への理解が不十分と思われる事例があることは承知している。このため、協力事業者に適正利用のポスターの掲示や利用者への呼びかけを依頼するとともに、県や市町村の広報誌などにより、広く県民に制度の周知や理解の促進を図っていく。今後は、総合交通センターや警察署に啓発用のチラシを配置し、運転する方に更なる周知を図るとともに、不適正利用に対し条例での罰則の導入を研究するなど、専用駐車場の適正利用に取り組んでいく。

その他の質問

2.スタートアップ企業への支援体制について

3.スマート農業の推進について

4.県道山梨市停車場線の整備について