平成30年2月 定例会 質問・答弁要旨

平成30年2月 定例会 質問・答弁要旨

1.市町村と連携した移住政策の推進について

乙 黒 山梨県内の認知症高齢者の数は26,475 人であり、高齢者人口の10.9%を占め、前年に比べ686 人増加しており、このうち75 歳以上の方が認知症高齢者の92.3%を占めている。昨年の認知症行方不明者は68 人と前年より33 人多く、約2倍となっており、このうち7 人は死亡した状態で発見されている。行方不明となった認知症高齢者を無事保護するためには早期の捜索と発見が重要であり、自治体の圏域を超えるケースもあり、地域での見守り体制の構築に加え広域的な対応を強化する必要がある。私は、事前に協力者として登録した方々に無料アプリをダウンロードしてもらい、行方不明者の情報が一斉に配信されるとともに、行方不明となった高齢者が身につけているステッカーの番号を入力することで瞬時に家族等に通報されるシステム、現在、山梨市や笛吹市が導入しているスマートフォンを利用した見守りシステムが有効ではないかと考えるが、県の取り組みについて伺いたい。

後藤知事  県では民間団体と連携し、認知症の方が外出先で困った時に家族への連絡先がわかるよう氏名や電話番号を記載した「おかえりマーク」の普及に取り組み、市町村に対して先進事例の情報提供や体制整備のための研修会などを開催している。また10 月には山梨市や甲州市と連携した広域捜索模擬訓練を実施するなど、県内各市町村が隣接する市町村同士で連携体制を構築できるよう支援を続けている。現在、県では金融機関を始め7 事業者と高齢者の見守り協定を結んでいるが、今後も官民が一体となった市町村の区域を超える広域的な連携体制のさらなる整備に向け、次期認知症対策推進計画においても見守り体制の強化・充実を掲げ、積極的に施策を推進していく。

2.行政事務の電子化とペーパーレス化について

乙 黒 山梨県は待機児童ゼロを継続しており都市部とは状況が異なるが、隣接する都県の問題が波及する前に対策を講じる必要がある。保育士は子供の憧れる職業の上位にランクされる一方、業務は多忙であり賃金水準も低く、キャリアアップの仕組みがないなど厳しい実情があり、保育士の早期離職や保育士資格を持ちながら保育士として就職しない潜在的保育士の増加など、今後の保育士確保と定着は大きな問題となる可能性があると考える。良質な保育を安定的に供給するためにも保育士のキャリアアップや処遇改善、学生への保育士就職促進、潜在的保育士の再就職支援といった対策と、これらの取り組みの仕組みや効果を広く周知することが必要と考えるが、県の取り組みを伺いたい。

後藤知事 保育士の確保・定着には技能や経験に応じてキャリアアップができる仕組みを構築し、賃金などの処遇改善を図ることが肝要であり、県では民間保育所等が副主任保育士や専門リーダー等の新たな職を設け、キャリアに応じて賃金を改善する場合には国の加算制度に基づき財政支援を行うほか、本県独自の取り組みとして、民間保育所等に社会保険労務士を派遣し就業規則や給与規程の整備が円滑に行われるように支援している。またキャリアアップのための専門的な技能や知識の習得のためマネジメントや保健衛生・安全対策等を内容とする研修を開催し、多くの保育士の皆さんから積極的な参加を頂いている。それから学生の就業促進として保育所の見学会を開催するとともに、保育士経験者の復職支援として、一定期間保育所に勤務した場合に返還免除となる貸付制度を本年度から開始し保育に必要な人材を確保できるよう取り組んでいる。こうした取り組みを全ての市町村や保育所を対象とした説明会のほか、様々な機会を通じて周知に努めていく。

3.介護人材の確保・定着について

乙 黒 山梨県は平成25 年度に厚生労働省が公表した健康寿命において、男女ともに日本一となっている。平成25 年度に策定した健康増進計画第二次健やか山梨21 に基づき、県民の健康の維持・増進に向けた様々な施策を展開しているが、塩分摂取量が多いという課題を解決するために取り組んでいるやまなししぼるとメニューなど、素晴らしい取り組みもまだまだ県民に周知されていないことが問題である。また県では口の中の健康と全身の健康が相互に影響を及ぼすことに着目し、平成26 年度から医科と歯科を含む職種が連携する取り組みを推進しており、平成28 年度からは糖尿病重症化予防医科歯科連携事業として、特に糖尿病と歯周病に関して医科歯科が相互に連携して早期発見・早期治療に繋げている。本県は人工透析患者数が全国平均より高く、糖尿病患者数も増加する中、今後も人工透析患者が増加すると予測されているが、この医科と歯科の連携が具体的にどのように推進していくのか伺いたい。


後藤知事 県では健康増進計画である山梨21 に基づき食事や運動、生活習慣を含め総合的な対策を進めているが、特に糖尿病と歯周病が相互に悪影響を与えていることに着目し、医科と歯科が連携する取り組みに力を入れている。昨年度までに県医師会・歯科医師会の代表者などで構成する専門部会において患者の情報を共有するための準備を行っている。本年度は研修に加え、9 月より協力医療機関を募集したところ11 月末で177 件の登録があるなど連携は順調である。この事業では歯周病の治療の際に糖尿病が疑われた場合、速やかに医科を紹介することで糖尿病の早期発見・早期治療に繋げるとともに、糖尿病の重症化を予防することで人工透析などの合併症に対する医療費の抑制にも貢献できると考える。今後も医科や歯科の連携を深め、登録頂いた医療機関と連携し、さらなる健康寿命の延伸に取り組んでいく。

4.在宅医療の充実・強化について

乙 黒 現在、山梨市内において県が整備を進めている山梨市駅南線は、市の中心市街地として商業・観光振興の拠点である山梨市駅周辺の交通環境を改善するとともに、まちづくりにも寄与する重要な道路である。また新たな駅舎を建設している山梨市駅と南北自由通路による山梨市駅周辺の活性化にも大きく寄与する本道の整備は地元からも大きな期待が寄せられている。平成24 年度に事業着手し、現在は用地買収に取り組まれていると聞いているが、進捗状況について伺いたい。


後藤知事 都市計画道路山梨市駅南線整備事業は、山梨市駅付近を起点に南へ約700 メートルの区間について道路の拡幅と電線類の地中化を行うものである。現在、用地取得を進めており、本年度末時点で取得率が五割程度まで進捗する見込みであり、市と連携を図りながら事業効果を早期に発現させるため駅側から重点的に整備を進め、一日も早く工事に着手できるよう取り組んでいく。

5.峡東地域における周遊滞在型観光について

乙 黒 本年度末の全線供用を目指し工事が進められている西関東連絡道路の完成は、峡東地域と甲府都市圏との交流が活発となり、山梨市にとって産業や経済面で大きな成果が得られると期待されている。同時に、山梨市内と中央自動車道を結ぶ道路ネットワークが強化されることで、当地域のさらなる発展に大きく貢献できると考える。このうち県道山梨市停車場線は、山梨市中心部と中央自動車道の一宮御坂インターチェンジを結ぶ道路であり、すでに整備済みの重川橋から日川橋までの間は幅員も狭く歩道がないことから交通事故の危険性も高く、地域住民の安全確保や快適性の確保が課題である。そこで、山梨市内と中央自動車道を結ぶこれらの道路の整備状況について伺いたい。


後藤知事 県道山梨市停車場線については、整備が完了した重川橋からその南の日川橋までの間において幅員が狭く歩道もないことから、歩行者の安全確保が課題となっているが、現道は人家が連なり中には移転が困難な物件が含まれることから拡幅が難しい状況である。今後はバイパス案も視野に入れ整備方針を検討していく。

6.峡東地域の世界農業遺産認定に向けた取り組みについて

乙 黒 平成24 年の文部科学省の調査では、小中学校の通常の学級には発達障害の可能性のある児童生徒が約6.5%在籍していると推計され、平成27 年度の県教育委員会の調査では本県の小中学校においても全児童生徒の約3.3%に当たる2,073人に発達障害の疑いがあると考えられる。また発達障害の症状は多岐にわたっており、その障害特性に対する理解が進まないことも大きな問題である。そこで発達障害のある児童生徒にかかわる教員に対して、県ではどのような支援を行っているのか伺いたい。


後藤知事 通常の学級に在籍している発達障害の可能性のある児童生徒については、学習面、行動面におけるつまずきや困難な状況に早期に気付き、適切な指導や支援に繋げる必要があるため、全ての教員が発達障害に関する一定の知識・技能を有していることが大切である。また特別な支援を必要とする子供に関わる教員に対して授業支援ガイドブックや新学習指導要領で示されている学習上の困難さに対する指導例を活用して指導している。今後も市町村教育委員会と連携を図りながら、特別支援学校や総合教育センター等が専門的な見地から必要な指導・助言を行うなど、学校や教員への支援に努めていく。

7.小中学校におけるコミュニティ・スクールについて

8.児童生徒の肥満対策について