令和3年2月 定例会 質問・答弁要旨
1.コロナ禍における経営革新の推進について
乙 黒 感染症拡大が契機となり事業の業態転換を行う予定があるとした企業は増加しており、業態転換に迫られている企業等に対して手厚い支援を実施する必要がある。このような中、新商品や新サービスの開発、新たな生産や販売方式の導入に関して、事業者が中期的な計画を作成して実行していく経営革新計画という手法に注目している。計画の実行段階では商工会や金融機関などの支援機関の支援が得られるほか、保証や融資の優遇措置が受けられるといったメリットがある。
県は経営革新計画の承認機関であり、商工会など地域の支援機関と一体となって、経営革新計画の作成を促進し実行を支援する立場にあるが、本年度の経営革新計画の状況及び今後経営革新を図る事業者をいかに支援していくのか伺う。
長崎知事 経営革新計画の状況については、コロナ禍において経営の転換を求められる企業や個人事業者に対して地域の支援機関である商工会等と連携して経営革新計画の作成を促してきた。本年度承認した経営革新計画はこれまでで最多の59 件、昨年度比で約3 倍となっている。また、新商品開発、新分野進出、販路開拓、IT 導入など計画内容に応じた支援を実施するため、知識や経験が豊富な専門家を派遣するとともに、必要となる経費を助成している。派遣案件については商工会や金融機関など13 の支援機関が一堂に会するサポート連携拠点会議でも協議することとし、最良の解決策を起業に提示している。こうした県による支援は本年度も当初予算に加えて6 月補正予算でも計上しており、専門家派遣による新規支援案件は26 件と前年比73 パーセント増となるなど、事業者の皆様からの強い支援要望をいただいている。
今後も来年度当初予算に増額した予算を計上し、商工会や金融機関などの地域支援機関と連携を強化しながら、経営革新を図ろうとする積極果敢な事業者に寄り添う支援を強力に展開していく。
2.コロナ禍における教育現場への支援について
乙 黒 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、学校現場においても、子どもたちの検温や健康観察、健康相談、感染防止のための消毒作業など、新たに多くの対応が必要となり、教員の負担が増加している。県では、教員の追加配置に加え、教員を補助し、採点や放課後の補習などを行う学力向上支援スタッフや、教員に代わって消毒作業を行うスクール・サポート・スタッフを配置して、教育現場への支援を行うことで、きめ細かな学習支援ができるようになったなど感謝の声が届いている。また、スタッフが教室や廊下などの施設の消毒や消毒液の補充などを行うことで、教員の負担軽減が図られ、学習指導や授業準備など本来の業務に専念しやすくなったと聞いている。
今後も新型コロナウイルス感染症への対応が求められる学校現場では、引き続き支援が必要な状況にあると思われるが、学校現場や教員を支援する施策について県の所見を伺う。
教育長 臨時休業後の学校では、教員の新たな業務として適切な感染防止対策を図りながら、授業の遅れを取り戻すことが求められ、県では学力向上支援スタッフ、スクール・サポート・スタッフの配置など、教員の負担軽減を図るための支援を行った。これらの支援に対して、多くの市町村や教員、保護者から感謝の声とともに、来年度の継続を希望する声が届いている。現在も感染症の収束の見通しが難しい状況を踏まえ、県では引き続き学力向上支援スタッフとスクール・サポート・スタッフを配置するための経費を来年度予算に計上した。今後も感染防止ときめ細かな学習を進めるための支援を継続していく。
3.甲武信ユネスコエコパークの利活用による地域活性化について
乙 黒 秩父多摩甲斐国立公園とその周辺地域は、令和元年六月に甲武信ユネスコエコパークとして登録されたが、一年半以上が経過した現在でも、来訪者の増加など、登録の効果を実感できていない。その要因はユネスコエコパークという言葉の認知度が低いことや、この地域の魅力が理解されていないことであり、ユネスコエコパーク登録の効果を活かし地域が発展していくためには、美しい自然景観や様々な河川の源流となっている水、豊かな森林など地域資源の魅力を広く発信し、利活用につなげていくことが重要である。
今年度、国は新型コロナウイルス感染拡大により減退した国立公園等の利用拡大と、地域経済の再活性化を図るため、滞在型ツアーやワーケーションを推進する事業を立ち上げたが、地の利を活かし、観光面における取り組みを進めることも必要である。今後、甲武信ユネスコエコパークの利活用を促進し、地域活性化につなげるため、どのように取り組んでいくのか伺う。
森林環境部長 甲武信ユネスコエコパーク登録の効果を地域が享受していくには、地元市町村等による地域資源の持続可能な利活用を促進するとともに、情報発信力を強化し地域の価値や魅力を周知していくことが重要である。そのため豊かな自然を活かした森林セラピーや果樹王国ならではの農業体験等、バリエーション豊富なアクティビティを伴うワーケーションについて、地元市町村、観光団体等と連携してプログラムを造成し、地域資源の高付加価値化を図るなど、観光面からのバックアップを推進していく。
また、本年9 月には、県立武田の杜に甲武信ユネスコエコパークの情報発信の中心拠点を開設することとしており、エリア内の市町村が設置する地域の情報発信拠点と連携を図りながら、ワーケーションなどの新たな取り組みや、世界から評価された地域の魅力を県内外に幅広くPR していく。こうした取り組みを通じて、より多くの方にこの地域を訪れてもらうとともに、地場産品のブランド化など、地域資源を活用した産業振興を図り、地域の活性化につなげていく。
4.家庭から排出される一般廃棄物の削減について
5.山梨市牧丘町で発生した山腹崩壊の復旧について
6.県道塩平窪平線の整備
7.県有地問題について
乙 黒 昨年、山梨県議会11 月定例会において、平成29 年10 月に提訴された住民訴訟について和解したい旨の議案が提出された。新たに設置された県有地の貸付に関する調査及び検証特別委員会に付託され、激しい議論が進められていたが、事前の情報が少なく、なおかつ議案に対する説明も不十分であると感じる議員も多く、最終的にこの議案は継続審査となった。その後、今定例会において撤回となったが、現在も様々な調査や検証は続いている。県有地の賃借については、昭和2 年に現在の富士急行株式会社に貸付したのが最初であり、現在では経緯や条件に差異はあるものの、多くの県有地が様々な用途で貸付されている。今回の住民訴訟では、山中湖畔の別荘地やゴルフ場における富士急行への賃料が不当に安いことを問題としており、これまで県が賃料を適正としてきた方針を転換するならば、その根拠と検討内容について明確に示すべきだと考える。私は特別委員会のメンバーではないが、委員会にオブザーブして、その議論と提出資料を確認した。しかし、当局の答弁からは県議会と協力してこの問題を解決しようという意欲や、積極的に情報を開示しようとする姿勢が全く感じられない。
質問① 特別委員会が設置される前は、県有地の問題は私が委員長を務める土木森林環境委員会が担当である。特別委員会でのやり取りを見ると、県が方針を改めたのは昨年6 月、7 月には顧問弁護士を変更して新たな不動産鑑定を依頼、この不動産鑑定書の検収は、9 月30 日に開催された9 月定例会における常任委員会後ではあるが、当委員会において県の方針や新たな鑑定の意義について質問があったにもかかわらず、詳細の報告はなかった。訴訟に関わることで制限はあるかと思うが、説明責任を果たすとの答弁があった後も十分な報告がないまま11 月定例会を迎えたことは大変遺憾である。今後、こうした情報を積極的に開示していく意志があるのか、県の方針について伺う。
質問② 次に賃借人との契約に関わる協議について、特別委員会では富士急行への貸地のみではなく、県内の様々な県有地を訪れヒアリングしているが、どの団体でも賃料アップについては反対するものの、明確なルールと金額の提示があれば検討せざるを得ないと言っている。富士急行からも新賃料の提示を求められていた中で、県は以前の契約を無効とし、賃料改定の協議に応じないと表明したが、賃借人となる富士急行との話し合いについて、これまでの経過と今後の予定について伺う。
質問③ 次に検証委員会の人選と職務について伺う。先日、顧問弁護士を務める足立弁護士を委員長とする検証委員会の構成が発表となったが、日本弁護士連合会が公表している「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」によると、利害関係を有する者は委員に就任することができないと明記されており、注釈において顧問弁護士は利害関係を有する者に該当するとはっきり書かれている。足立弁護士には調査業務として6600 万円の支払いも済ませているが、時給5 万円での報酬は高額であると感じるとともに、成功報酬としての意味合いも考慮すると公正中立な検証委員会の委員とするのは問題があると感じるが、県の考えを伺う。また、再度新たな鑑定評価を依頼した嶋内鑑定士に関しても、特別委員会での意見聴取の中で、原告の記者会見に同席するなど、その中立性に疑義が生じている。昨年、澤野法律不動産鑑定事務所からの鑑定書が提出された直後に敢えて再び予算をかけて再鑑定した理由と合わせて、嶋内鑑定を支持する理由について伺う。
質問④ 最後に、県有地を貸付する場合の公正なルールの策定について伺う。様々な議論を通して、県有地を最大限活用しつつ、より高額な賃料を設定することにより、教育等の予算につなげ、県民の利益としたい長崎知事の想いは十分に伝わったが、一方で富士急行との個人的な対立を引き合いに出し、批判する県民がいることも確かである。90 年以上も続いてきた現在の契約をしっかり精査し、公平公正なルールの下で今後の運用をしていくべきと考えるが、所見を伺う。
長崎知事
答弁① まず、情報開示について、住民訴訟の対象となる県有林の貸付を地方自治法第237 条第2 項や関係法令の解釈など法的な議論を重ねてきたところ、開発前の山林原野とする評価はなりたたないことが判明した。昨年8 月12 日付上申書その他書面で裁判所にその旨を表明した上で、11 月10 日の口頭弁論においてこれを撤回し、現況で土地価格を評価することが適正と主張変更した。主張変更については、訴訟手続き上、事前に公表できなかったが、11 月13日に説明会を開催するとともに記者会見を通して県民にも説明している。11 月定例県議会において和解案が認められず訴訟が継続しているため情報の開示には一定程度限界があるが、県議会議員や県民の皆様に理解してもらうためにも重要な論点については積極的な情報開示に努めていく。
答弁② 次に、富士急行株式会社との協議については、住民訴訟の補助参加人となる同社とは裁判を通じて互いの主張を展開しており、今後も裁判の中において同様の対応を行っていく。なお、原告からは、県と同社の長年にわたる癒着を指摘されていることから、裁判外での非公開による話し合いを軽々しく行うことはできない。同社から賃料改定手続きを求める書面をいただいたが、本件貸付は地方自治法第237 条第2 項に違反しており、貸付は無効となることから賃料改定の相談には応じられない。適正な新規賃料で賃借する場合にはしっかり相談させていただくと同社には伝えてある。
答弁③ 検証委員会の人選と職務について、今回の検証委員会は指摘されているような企業等の不祥事における「第三者委員会」のような準司法的機能を期待する存在ではない。住民訴訟の被告たる県が裁判で主張すべき内容を正確に確定し、県の主張立証を補充することを目的に設置している。このため訴訟代理人弁護士や紛争解決を専門とする2 名の弁護士に委員を担わせることは問題ない。また、調査業務費の積算で用いた時間単価については、事業の困難性や弁護士の経験・知見や熟練度等を考慮の上、大手法律事務所出身のパートナー弁護士の報酬としては妥当、あるいは比較的安価だと考える。
また、不動産鑑定について、澤野不動産鑑定士には鑑定意見書を依頼し、「適正賃料の鑑定評価に当たっては、造成・開発前の素地価格とせず、現況を所与とすべき」との意見が示されている。添付されている不動産鑑定書は、従前の賃料が適正賃料を大幅に下回っており、地方自治法第237 条2 項に違反し無効であるにも関わらず、賃借権割合相当額の控除を行うなど適正な賃料が算出されていない。このため嶋内不動産鑑定士に新たに依頼し、利回り法の採用や算定の基礎となる期待利回りの根拠について詳細に示されており、不動産鑑定評価基準に則った適正なものと考える。嶋内鑑定士と原告との関係については、適正な賃料について原告と被告で争点はないことから、記者会見に同席したことで鑑定を否定すべき理由とはならない。
答弁④ 最後に、公平公正なルールの下での県有地の貸付について、検証委員会において貸付に至った経緯や、その後90 年間の契約の形態、賃料の算定方法など精査している。この検証により、昭和42 年8月22 日付けの賃貸借契約より前の貸付は許可処分によって行われ借地法の適用がある契約ではなかったことが判明し、昭和42 年に締結した賃貸借契約は新規に締結されたものであること、またこの時点で同社による造成は既に完了していたことから、これ以降は造成後の現況を基礎として賃料を算定すべきことが明らかとなった。今後、過去の知事や同社の故意過失や不当利得返還請求権の有無や、未来に向けた適正な賃料と事務手続きのあり方等を検証し、公平公正なルールの下に適正賃料を求めていきたいと考える。
乙 黒 長崎知事には、県有地問題について常にぶれることなく県の主張を説明されており、私は異なる見解ではあるが、その内容についてはしっかり理解している。今後は訴訟を通して裁判所の判断を仰ぐことになるが、県民の皆さんへの丁寧な説明と公平公正な県政運営をお願いしたい。一方で、特別委員会、常任委員会における執行部の答弁は曖昧な部分も多く、迅速な情報提供についても不満を感じている。議会において透明性のある議論を深めていくためにも、今後の対応について一層努力していただけるように改めて要望する。
再質問① まずは、検証委員会について、先程の答弁でその詳細については理解した。一方で特別委員会でのやり取りを精査すると、昨年末から委員や執行部の間では、第三者による検証委員会によって県の主張も含めた検証がされると認識していたと感じている。知事の発言からも、検証委員会という名称が多くの方に誤解を招く要因となったと反省の弁もありましたが、こうした第三者委員会を今後設置する予定があるのか伺う。
再質問② 次に、検証委員会でのサポートを含めて、足立弁護士を始めとする4 名の弁護士に6600 万円の調査業務委託がなされているが、特別委員会における答弁では、これらの作業に対する日報等の提出は考えていないと発言があった。参考人として出席した足立弁護士も高額な時給に対して、自身の知見やこれまでの弁護士としての活動に自信を見せ、裁判における成果を出していくとの発言もあった。そこで今回の委託業務に関して、その費用対効果や弁護士の先生方の仕事内容について、どの様な形で評価していくのか伺う。
総務部長
答弁① まず、第三者的な検証の場の設置について、和解案が認められず訴訟が継続となるため、原告や被告、補助参加人等から独立した裁判所における争訟手続きによって判決が下されるものと考えている。それが県議会から求められていることと理解している。
答弁② 次に、6600 万円の調査業務委託料の効果検証等について、最終的には住民訴訟の進捗や検証委員会の議論の進捗を踏まえた調査報告書を提出、内容を確認して委託業務実績報告書の項目ごとに積算根拠を示してもらい委託料の清算を行う。その成果については、報告書を作成するなど仕様書に定められており、これらを活用した住民訴訟に係る検証の結果は、しかるべき時期に対外的に公表していく。
令和3年度当初予算における修正点
◎原案
〇訟務管理費(裁判費用) 約2億円
・今後予想される住民訴訟の判決確定による歴代知事を始めとする関係者への損害賠償請求額77億円余と富士急行に対する令和3年賃料増額請求分20 億円余を合わせた計97 億円余に着手金として2%を乗じた概算額
〇債務負担行為
・住民訴訟の関連訴訟について委託契約を締結すること
・令和3年度から結審の年度まで
・限度額は訟務代理委託に伴う実費及び成功報酬を加えた額の範囲内
⇩
◎修正案
〇訟務管理費(裁判費用) 約70 万円
・住民訴訟の判決確定による複数の訴訟について具体的な金額が確定していないため、「算出不能な場合の算定基準800 万円」を用いて計算した49 万円に、内容により30%の範囲内での増減及び消費税を加えた約70 万円を着手金として設定
〇債務負担行為
・住民訴訟の関連訴訟(住民訴訟において争われている貸付契約が無効であることや法令の解釈適用などが論点となるもの)について委託契約を締結すること(令和3年度に締結するものに限る)
・令和3 年度から訴訟代理委任契約が終了した日から3ヶ月後の日の属する年度まで
・限度額は訟務代理委託に伴う実費及び訴訟代理委任契約事件に係る経済的利益の額を基準として、「旧日本弁護士連合会報酬等基準」に規定する計算方法に基づき算定した報酬額から着手金を除いた額の範囲内
3 月22 日 本会議修正予算賛成討論 全文
私は、第十七号議案、令和三年度山梨県一般会計予算に対する修正について、賛成の立場から討論を行います。
まずは、訟務管理費における弁護士報酬、裁判管理費等について、予算特別委員会において質疑しましたが、約二億円という予算は住民訴訟のための費用ではなく、住民訴訟において県が敗訴した際に歴代知事等への損害賠償請求及び富士急行への令和三年度賃料増額請求訴訟に係る着手金であると答弁がありました。積算根拠として旧日本弁護士連合会報酬等基準による2%を機械的に当てはめた最低限の費用であると説明がありましたが、私は高額であると感じております。そもそも住民訴訟において、これまで担当弁護士に対して、顧問契約、訴訟委任契約、六六〇〇万円の調査委託契約等の多額な費用を使っており、準備書面に基づく口頭弁論期日における主張、証拠の提出を行うなど、県の敗訴により想定されるこれらの訴訟において、担当弁護士が未定とはいえ、これまでの主張や成果物を活用することができると考えられます。にもかかわらず、初めて訴訟を提起する時に採用される着手金・成功報酬型の契約を締結する必要があるのか疑問に感じます。また、住民訴訟の判決によってどの様な訴訟が想定されるのか不明確であるとの答弁もいただきましたが、これまでの契約が違法無効であり、歴代知事を始めとする対象者への七十七億円を超える請求が生じることを前提とした当初予算の設定にも無理を感じております。私は判決が確定した後に、対象者や金額等を明確にした中で、補正予算として計上すべきと考えます。また、これらの新たな訴訟は住民訴訟の判決が確定した後に行われるとの答弁もいただきました。さらに訴訟が行われない場合には、これらの費用は使用されることはありませんが、その他の訴訟や関連調査に使用される可能性については否定されませんでした。ここで私が問題と考えるのは、一月、足立弁護士に六六〇〇万円支払われた調査業務委託であります。令和二年度の当初予算で訟務管理費は一七〇〇万円余しかなかったにも関わらず、議会に説明のない中、他の項目から流用される形で支払いが行われました。この調査における成果や費用対効果は、今後の県からの説明や決算特別委員会で調査させていただきますが、議会に説明することなく予算が執行されることについて、私は強い憤りを感じております。本会議での質問において執行部の説明が不足していることを指摘させていただき、それぞれの議員との信頼関係が崩壊していると発言させていただきました。正に、この信頼関係を修復することなく、今定例会において、約二億円という訟務管理費を認めるということは断固としてできません。
次に、債務負担行為の設定について、多くの議員から弁護士報酬が高額となり費用が青天井となるのではないかと不安視する意見に対して、執行部からは成功報酬の範囲内であるためその指摘は当たらない旨の答弁がありました。私も予算特別委員会において、事項に書かれている関連訴訟という部分について質問しましたが、明確にどの様な訴訟を想定しているのか十分な回答はありませんでした。費用が高額となるのではと考える点は、成功報酬の総額ではなく、この関連訴訟がどの訴訟まで含まれるのか明確になっていない点にあり、この債務負担行為において、「関連」という言葉が削除されなければ承認することはできないと思っております。同時に、今後訴訟内容が決定した際には、それぞれの訴訟において債務負担行為を設定する必要はあるとも感じております。
また、予算特別委員会における同僚議員からの発言において、事実誤認と思われる発言も散見されました。まずは、「住民訴訟における和解案を認めず、かつ弁護士費用を認めないことは一貫性がない」という指摘ですが、山梨県議会において住民訴訟に関する弁護士費用が認められなかった事実はなく、今回の約二億円並びに債務負担行為に関しても住民訴訟の費用ではなく、住民訴訟の敗訴に伴う損害賠償請求に係るものであることをご理解いただきたい。次に、「和解案を認めなかったことでこうした多額な裁判費用が必要になった」という指摘ですが、住民訴訟が和解となったとしても、歴代知事を始めとする対象者の損害賠償責任が全くなくなるということにはならず、県が改めて損害賠償請求をすることを決断するならば、こうした費用は必ず計上しなければならないと考えます。さらに成功報酬という性質から、対象者からの支払いがあった場合のみ弁護士報酬として支払うため、県費として負担することはないとのご意見もありますが、約二億円として計上されている着手金に関しては、契約後に訴訟を取り下げたり、対象者との和解が成立したりした場合でも、その契約金が戻ることはないと認識しております。最後に、私は今回の県有地問題について、多くの情報から私なりの真実を見極め、議員の矜持に沿った行動をしております。長崎知事は県ホームページや週末の県政報告会において、県有地の高付加価値化を目指し、富士急行を始めとする賃借人とウィンウィンの関係を築くことを明言されております。そのメッセージについて反対する議員はいないと思います。これからもご自身の思いを明確に伝えていただき、県と議会が両輪として県政発展に向けて共に歩めるよう、ご尽力をお願いいたします。以上、申し上げました通り、今回の第十七号議案に対する修正案は、執行部のチェック機関として議会の権能を守るものであると考え、賛成討論といたします。